2018年6月26日火曜日

犬と香炉について

蟷螂の斧(とうろうのおの)694頁から 民話

昔、犬は三本足で生まれて来た。歩くことが不自由で、食物をさがし廻るのに大変困難した。
 ある日、神様がお通りになりましたので、犬は大変喜んで三本足の不自由さを申し上げました。
「できますれば、もう一本足を下されば自由に歩いて食を求める事ができます。どうぞあと一本の足を神様の力で恵み下さい」
と申し上げました。
 神様は早速四本ある香炉をお呼びになり、
「貴方は足三本でも不自由はない。充分に貴方の役目を果たせるから貴方の足は犬さんにやった方が良いと思う」
 香炉は神様の言う事を聞き入れ、早速一本の足を神様に差し上げました。
 神様はこの足を犬にやりました。
 犬はそれから自由に歩くことができました。
神様から戴いた足を大事にして小便をする時には神の下さった足を濡らしては神に対して失礼を思いまして片足を高く上げて小便をするようになったそうです。   

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